反省記別館

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【読書】迷宮遡行/貫井 徳郎著

迷宮遡行 貫井 徳郎
新潮文庫

おなじ作者の「慟哭」が一時期(大分前だが)本屋に大量に平積みにされていて、面白いとあおられていた。
で、なぜか慟哭の方は読まずにこっちを読んでみた。

読みやすいには、読みやすい。
さくさく読み進めてしまう。

以下ネタばれ有り。
うだつのあがらないサラリーマン(現在リストラ中)である「おれ」(名前は迫水)の元から、置手紙一枚残して奥さんが姿を消す。
納得のいかない迫水は、彼女を追っていくうちに、ヤクザ同士の恐るべき抗争に巻き込まれていき、最後は衝撃の事実が…というストーリー。

まったくの一般市民が、わずかなヒントから一人の人間を追っていく、その過程は、「自分だったら…」という投影ができて引き込まれる。
奥さんである「絢子」の素性が、二転三転(三転したかな?)しながら明らかになっていく様も、それなりに楽しめる。
自分の行動のせいで大切な友人を失ってしまい、最後捨て身で単身乗り込んでいく迫水の行動、喪失感も、胸に迫らないわけではない。

でも、読後感として一番強いのは、ちぐはぐとしたリアリティのなさ。
私が気になったのは、まず、台詞やシチュエーションの作り方。
これに関しては好みもあるだろうけれど、「どっかなんかのドラマで見たような」っていう風味の台詞回しなのだ。しかも、読んでてそのわざとらしさにたまにむずがゆくなる。。。
たとえば、
殺された新井の元妻をたずねるシーン。
子連れの元妻は、ファミレスで、子どもを横において結構ヘビーな会話を展開。その横で子どもは無邪気そうにクリームソーダを飲む…

とか。

ヤクザに追われておばの下に身を潜める女子大生に情報を聞き出しにいくところ。
何か言いかける女子大生を、おばは「それを言っちゃっていいの?」みたいな感じで制する…(聞いてくださいと言っているとしか思えない誘導…)

とか。
前後の流れもあるからこれだけでは微妙かもしれませんが、こういう、「ありえそうにつくっているけど絶対ありえないから」「しかもどこかで見たことあるわざとらしさ」っていうのにものすごーく反応してしまうのって、私だけ?

それと、ストーリーの大きなキーである「ヤクザ」の描き方。
これがまた、カタカナかぎかっこつきで表記したくなるような、ベタな「ヤクザ」。
頬に傷があって目つきが悪いなんて、そんな…。

言葉使いも、親近感を出そうとして滑っている感がぬぐえない。

「人の行動が思わぬところで独善的だったり、予測もできないまま不可抗力で不運が襲ってきたりするために、時として誰も幸せになれない悲劇が存在する」重苦しいストーリーと、「全体を覆うわざとらしい軽さとリアリティのなさ」が、水と油のように交じり合うことなく、結果として一番のみせどころである最後のシーンに
「ここまできてそれかよ!!」
と突っ込みたくなる、なんとも残念な作品です…

ディテールさえもうちょっと変われば、もっともっと面白かったと思うのになあ…。

なんて散々言っておきながら、読後日にちが経過した割にはストーリーを意外と細かく覚えているところが侮れない。
| zooty | どくしょ | comments(0) | trackbacks(0) |
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